『Mele Kalikimaka』|ハワイのクリスマス定番を彩るアロハの心
雪のないクリスマス、それでも心は温かい
「Mele Kalikimaka!」——ハワイで12月になると、街のあちこちでこの言葉を耳にします。
これは、英語の “Merry Christmas” をハワイ語の発音にしたもの。
雪の降らない南国の島では、サンタクロースもサーフボードに乗ってやってきます。
ヤシの木に電飾が灯り、ホテルのロビーにはプルメリアとポインセチアが並びます。
冷たい風ではなく、潮の香りを感じるクリスマス。
そんな温かい光景を象徴するのが、ハワイの定番曲『Mele Kalikimaka』です。
ハワイで生まれたクリスマスソング
この曲は1949年、ハワイの作曲家R. Alex Andersonによって作られました。
「雪が降らない島のクリスマスも素敵だね」という言葉から生まれたといわれています。
曲はビング・クロスビーの歌で世界中に広まり、今ではハワイアン・クリスマスの代名詞となりました。
陽気なウクレレの音と、軽やかなスウィングのリズム。
“Mele Kalikimaka is the thing to say on a bright Hawaiian Christmas Day”
という歌詞は、「晴れたハワイのクリスマスの日に、メレ・カリキマカと挨拶をしよう」という意味。
南の島の笑顔がそのままメロディになったような一曲です。
“Mele”に込められたハワイ語の心
ハワイ語の「Mele」には、“歌” “祈り” “祝い” という意味があります。
つまり “Mele Kalikimaka” は単なる挨拶ではなく、
「歌うように祝うクリスマス」というメッセージが込められているのです。
ハワイの人々は、言葉や音楽を通して感謝を伝える文化を大切にしてきました。
その精神は「アロハ(Aloha)」にも通じます。
与えること、受け取ること、そして分かち合うこと——
この曲には、そんなハワイの心が息づいています。
ハワイの街に広がるクリスマスの風景
12月のホノルルでは、ダウンタウンの“ホノルル・シティ・ライツ”が開催され、
巨大なサンタ像「シェイカ・サンタ」と「ミセス・クラウス」が登場します。
観光客にも人気のこのイベントでは、ハワイ語のキャロルが響き、夜空に花火が上がります。
ショッピングモールやホテルでは、地元ミュージシャンによるライブ演奏、
ウクレレ・デュオのステージ、そしてフラのパフォーマンスが行われます。
そのBGMに流れるのが、いつも『Mele Kalikimaka』。
誰もが自然と手をたたき、リズムを口ずさむ——そんな明るい時間が続きます。
フラと共に感じる“祝う”ということ
この曲はフラ・アウアナ(現代フラ)でも人気です。
動きはやさしく、手を前へ差し出して「贈り物を渡す」ような振付が特徴。
踊ることで、まるで笑顔をそのまま届けているような気持ちになります。
レッスンの中でこの曲を踊ると、
“踊ること=感謝を表すこと”という、ハワイの文化的な本質を感じる瞬間があります。
音楽と動きがひとつになり、言葉の壁を超えて「アロハ」が広がっていくのです。
アートで残す、南国のクリスマスの記憶
Leaf Alohaでは、このハワイの温かいクリスマス風景をモチーフにした
ハワイアンアート作品を数多く紹介しています。
サンタ帽をかぶったヤシの木、夕暮れのビーチ、波に乗るサーフサンタ——
どれも『Mele Kalikimaka』の世界をそのまま描いたようなモチーフです。
絵画やプリントの中に描かれた赤い夕陽やプルメリアの花々は、
ハワイの“贈り物の季節”を優しく伝えてくれます。
飾ることで、日常の中にハワイの空気とアロハの心を取り入れることができるのです。
おわりに ― “Mele Kalikimaka”の願い
『Mele Kalikimaka』が教えてくれるのは、
どんな場所にいても笑顔で「ありがとう」を伝えることの大切さ。
雪の代わりに波が寄せる音、鐘の音のかわりにウクレレの響き。
ハワイのクリスマスは、自然と人の心がひとつになる日です。
この曲を聴くたび、
心の中に小さな太陽が灯るようなあたたかさを感じます。
Mele Kalikimaka——それは「愛と感謝を贈る」
ハワイからの優しいメッセージなのです。