カメハメハ大王が守ろうとしたもの｜島々をひとつにした優しい願い

“偉大な王”の裏側にあった、静かな願い

カメハメハ大王といえば、ハワイを統一した力強いリーダーという印象が強いかもしれません。
しかし、大王の心の奥にあったのは、「島々をひとつにし、争いのない未来をつくりたい」という静かな願いでした。

当時のハワイは、島ごとに首長が治め、戦や対立が絶えない時代。
人々の生活には不安と緊張が常に伴っていました。
そんな状況を見て、カメハメハは“本当に守るべきもの”に気づいたのです。

統一の戦いと聞くと、力や名誉のためと思われがちですが、カメハメハの目的は違いました。
彼が目指していたのは、ハワイ全体をひとつの大きな家族のようにまとめ、
無駄な争いによって失われる命を守ることでした。

ハワイ語の価値観「Lokahi（ロカヒ）＝調和」を重んじ、
自然・人・文化すべてがつながり合う未来を信じていました。
統一は、その理想を実現するための手段だったのです。

大王は、争いのない社会を築くために「Mamalahoe Kanawai（ママラホエ・カナワイ）」と呼ばれる法を制定しました。
これは、弱き者や旅人、罪のない一般の人々を守るための法律で、
「壊れたパドルの法」として今も語り継がれています。

この法は、当時としては非常に画期的で、
“力ある者も弱者を守らなければならない”という強いメッセージが込められていました。

統一後のハワイが安定し、文化が育まれた背景には、
カメハメハのこの“優しさの哲学”があったのです。

カメハメハは、ハワイの自然を深く敬い、森・海・風に宿る「マナ（生命力）」を大切にした人物でもあります。
大きな決断の前には、自然の声に耳を澄ませ、導きを求めたとも言われています。

この姿勢は、ハワイに古くから伝わる“自然との調和”の価値観そのもの。
王でありながら謙虚で、自然や人々を慈しむ心を忘れなかったのです。

Leaf Alohaのアートでも、カメハメハが守ろうとした「調和」「つながり」「やさしさ」が一つのテーマになっています。
色の重なり、光の方向、ゆっくり動く風の描写──。
それらは、争いではなく“ひとつにするための想い”を象徴する表現でもあります。

大王が願った平穏の世界は、現代の私たちの心にも必要なもの。
アートを眺めながら、その優しい願いに触れてみてください。
今日もまた、ハワイの“調和の光”がそっと寄り添いますように。